1.はじめに7月29日の参院選の大敗北は、色々な意味で衝撃的でした。数の上で大敗したこともさることながら、従来、保守の基盤の強いといわれた1人区で6人しか勝てなかったこと、2人区でも自民党候補の得票は民主党候補の半分程度という少なさだったこと等です。
総合的な敗因の分析は今後、全力を挙げて行う予定ですが、年金事務処理の不始末や相次ぐ閣僚の不適切な発言・行動ばかりがマスコミで取上げられ、まともな政策論争がほとんど報道されなかったという意味で、こんなことで良かったのかと深刻に考えさせられてしまいました。
勿論、大臣の発言に大きな問題はあり、批判は率直に受けとめなければなりません。しかし、“赤城ネタは高い視聴率がとれるから報道する”とあるTV局記者が私に語りましたが、この体質がある限りまともな選挙報道は今後も期待できないのではないでしょうか。
2.大敗北を重く受けとめる今回の選挙は安倍政権成立後、初めての国政選挙であり、国民の審判が厳しく下ったことは重く受けとめなければなりません。率直に反省すべきは反省して、“新しい自民党”へと脱皮していかなければ、我々に明日はありません。
特に、安倍首相は、進むにせよ退くにせよ大変な困難が待ちうけている中、厳しいけれども続投を決意されました。確かに、憲法上も制度的には参議院選挙は政権選択ではありません。私は清和政策研究会(町村派)会長として、安倍首相の判断をしっかり受けとめ、続投を支持しました。又、7月30日には各政策集団の会長と会い、その旨のご理解を頂くべくお願いをして回りました。また、何といっても、安倍首相が就任してわずか10ヵ月。勿論、首相という重い立場ですから、就任直後からフル稼働することが当然です。しかし、知事や市長も4年毎に評価をうける選挙があるのに、何故、日本国総理大臣だけが、毎週、毎月の世論調査で通信簿をつけられなければならないかと私は思っています。
安倍首相も今後は、第一にあらゆる事柄について国民に対する説明責任を果たすことが求められます。第二に各閣僚をしっかりと掌握し、任命責任を果たしていくことが求められます。もっとも、ベテラン閣僚の相次ぐ問題発言に一番、怒りを覚えているのは安倍首相ご本人ではあるまいかと、私は推察しています。
3.政治資金の透明性を飛躍的に高める国民の信頼回復の第一歩は、赤城事件でも見られた政治資金の取り扱いの問題です。自民党でも8月7日から党改革本部を開いて早急な検討に着手する予定ですが、私は8月1日夜の21時のNHKに出演し「1円以上の支出はすべて領収書を添付したらいい」と発言しました。同趣旨のことは、同僚議員も党総務会で発言しておられます。
4.政策の見直しを行う次に大切なことは、選挙結果をよく分析し、政策面で修正したり、優先順位を変えたりすることです。安倍首相は「自らの政策が否定されたとは受け止めていない」と言われました。確かに民主党の財源の裏付け無きバラまき的政策のすべてが国民の支持を得たとは思いません。他方、安倍内閣の政策もまた全て支持されたと思えませんし、この事は謙虚に考え直さなければなりません。
特に、国民の視点に立って考えたとき、
年金を例にとると、当面の名簿照合作業等は行われるにしても、より抜本的な基礎年金の国庫負担割合を1/3から1/2に引き上げる財源の確保問題や厚生年金と共済年金の統合法案、さらには国民年金の扱いなどは、各党の主張は言いっぱなしで議論はかみあっていません。例えば与野党で年金協議会(仮称)という政策協議の場を立ち上げてはどうでしょうか。この他、
医療・介護、
公務員制度、
税財源問題等主要事項毎に政策協議会を設置し、大いに議論を深めたいものです。
5.内閣改造は大胆に第三に、8月末〜9月にかけて、内閣改造を行うと安倍首相は言っておられます。閣僚の相次ぐ辞任等もあり、人心一新の為、内閣大改造は必要なことです。その際、党内の様々な意見によく耳を傾け、又、候補者の政治資金の状況等をしっかりと調査したうえで、まさに適材適所の思い切った人事をなさるよう安倍首相のリーダーシップに期待しています。そして、大切なことは、新内閣の発足時に改めて、安倍内閣のカラーを鮮明にし、併せて、今次選挙の結果をふまえ、率直な反省をしたことが明らかになるような政策上のプレゼンテーションをすべきだと思います。
6.国会運営は十分な柔軟さが必要前国会の会期末には、成果を急ぐあまり、又、野党の理不尽な抵抗戦術もあり、かなり強引な国会運営になったという印象を国民に与えたことも反省が求められています。これからの国会は衆議院で自・公、参議院で民主という奇妙な基盤の上に政権運営をする様相になっていきます。従って、国会運営は十分に柔軟対応していくことが必要になります。同時に、野党も“何でも反対”していくことは出来ず、権力の一端を担う“責任政党”として行動することが強く求められてきます。ただ、小沢流政治の目標は、衆議院を一刻も早く解散に持ちこむことが最優先でしょうから、国会は様々な局面で混乱してくるのではないかと危惧する方々も少なからずおります。
7.全力を尽しますこうした状況下、私は日本の現状と将来を見据え、国際的視点を常に忘れず、安倍首相の下、日本国の国家運営がしっかり行われるよう最大限に協力していく決意です。又、一人の政治家として責任の重さを痛感し、困難な局面ですがライフワークである外交、教育、財政再建、そして国民の関心の強い安心(年金・医療等)、安全(食品、原子力発電、住宅、薬品等)の一層の向上に向け全力で働いていくことをお約束申し上げます。
自民党はこれまでも逆風をバネにして、国民の皆様の期待に応えられるよう変化を遂げて参りました。このたびの厳しいご意見に対し、一つ一つ誠意をもって解決して行きたいと存じます。真の自民党改革を進めるために、私は全力を尽くす覚悟であります。
町村 信孝