ODA予算、増やすべきか減らすべきか。
日本は国内の経済不振にもかかわらず、過去10年間にわたり、世界のODAの約5分の1を担って来ました。先進国が援助疲れを起こしてODAを減らす中で、世界の開発問題に積極的に取り組んで来たのです。先般の津波支援等、自ら約束した経済協力案件についても、我が国は真摯に取り組んで来ています。
ODA分野のこのような努力と貢献が、国際社会において日本に対する高い信頼と評価をもたらし、日本の国連改革提案等に対する幅広い支持の基盤を作り上げてきたとも言えるでしょう。
ところが、実際のところ、ODAを巡る状況は大きく変わっているのです。安保理改革の動きに関連して「政府は我が国の常任理事国入りのためにODAを世界にばら撒いている」との批判がありましたが、この批判は的外れです。何故かお分かりでしょうか。
安保理改革が動き出すずっと以前から、この8年間、日本のODA予算は一貫して減少しており、その一方で近年、米国や欧州諸国はODA予算を大幅に増額させているからです。その結果、このままODA予算の減少が続けば、近い将来、日本はこれまでの世界第2位のODA大国から、仏、英、独に抜かれて第5位に転落することが確実な状況になっています。
途上国自身の問題ではあるが、、、、、
開発問題は今回の国連総会でも重要なテーマでしたが、焦点は、「先進国がどこまでODAを増やせるのか」でした。私は、途上国の貧困問題を解決するために、単に先進国がODA予算を増額させればよい、という現在の国際的な風潮は間違っていると思います。
途上国が貧困から脱却し、経済発展を実現するためには、先進国の協力も必要ですが、しかしながら、途上国自身の努力が不可欠なのです。今回の演説でもその点はきちんと主張しました。しかしこの瞬間にも、貧困や疾病により途上国の多くの人々が亡くなっているという現実。グローバル化が進む国際社会において、途上国自身の努力には限界があるという事情。以上を考えると、今後もODA増大に向けた国際社会の圧力は、益々強くなると予想されます。
過去、批判の多かったODA事業については、ここ数年、予算の削減とともに案件内容や実施プロセス、評価のやり方等を見直す作業を徹底的に行ってきており、ODA事業は相当程度改善されました。そうした中、これ以上のODA予算の削減は、これまで日本が築いてきた国際社会における地位や信用、影響力を損なうことになりかねないと懸念します。そのような考えから、厳しい経済状況は十分認識した上で、来年度予算からODA予算を増大に転じさせることが必要と判断しました。この点については様々な機会に国民皆様の理解を求めていきたいと思います。