バリ島テロ犠牲者のご冥福をお祈りします 10月1日夜、インドネシアのバリ島で、2002年10月に引き続いて、再び大規模なテロが起きました。今回も日本人観光客に、死者を含む犠牲者が出てしまいました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、犯人に対して、心の底から怒りを覚えずにはいられません。
9月14日に行われた第60回国連総会安保理首脳会合の主たるテーマは「テロとの闘い」でした。私は小泉総理の代理として出席し、「テロとの闘い」に対する日本国の強い意志を表明しました。またブッシュ大統領を始め各国首脳も、「テロとの闘い」に対する決意を述べ、国際協力の重要性を訴えました。

総会議で演説する 今回のテロのように、9・11以降も世界各地でテロは続発しています。今年7月のロンドン地下鉄テロ事件は記憶に新しいところです。また、イラクでは毎日のようにテロが発生。多国籍軍はもとより多数のイラク市民にも犠牲者が出ています。9.11以降国際社会は一致協力して「テロとの闘い」を進めていますが、この闘いの戦場は、アルカイーダが潜伏しているアフガニスタンはもとより、中東、東アフリカにまで広がっています。
アフガニスタンには国内のテロリストを掃討するため、米国を中心に45カ国が部隊を派遣しています。またインド洋では、テロリストの海路移動、武器や資金源となる麻薬等の密輸阻止のために、G8各国(ロシアを除く)及びパキスタンが艦船を派遣して、「海上阻止活動」を実施しています。
高く評価される自衛隊の海上阻止活動 日本も「テロ特措法」に基づき、これまで4年間、インド洋に海上自衛隊の護衛艦と補給艦を派遣。現在も、「海上阻止活動」に参加する各国艦船のために燃料等の海上補給活動を行い、各国から高い評価を受けています。夏は50度を超える過酷な環境の中で、黙々と補給活動を続ける隊員諸君の献身的な働きには、ほんとうに頭が下がります。
波が高く潮の動きの速い洋上で船舶間の給油を行うためには、高度な技術と能力が必要とされます。「海上阻止活動」に参加している各国が日本の力を高く評価しているのは、まず何と言っても、海上自衛隊による、高い技術に裏付けられた信頼性の高い活動のためであります。
一方国内には、こうした尊い自衛隊の活動について、「無料ガソリンスタンドをいつまで続けるのか」と批判し、早期の打ち切りを主張する声もあります。「海上阻止活動」の成果は見えにくいため、成果はあがっていないのではないかと、自衛隊の活動にも疑問を呈しているわけですが、これは甚だしき誤解で、誠に残念です。
むろん「海上阻止活動」の軍事作戦としての性格上、成果の公表には限度があるという事情はありますが、それ以上に、活動の続行がテロリストの活動を抑止しているという事実を忘れないでいただきたい。すなわち、華々しい戦果が無いという事実こそが、最大の抑止効果と言えます。しかしながらそれでも、今回のバリ島におけるようなテロ事件は、起きてしまうのです。
テロリストを野放しにしないために また「イラク戦争がテロをもたらした。悪いのは米国だ」として、日本は「テロとの闘い」から距離を置くべきとの意見があります。しかしながら、イラク戦争以前からテロは発生していますし、この時点で「われわれはもう十分に貢献した」として、日本が艦船を撤収すれば、各国の洋上活動に支障を来し、テロリストの自由な活動を促してしまう。日本政府はこうした考慮から、自衛隊の活動を継続するため「テロ特措法」の1年間延長を国会に諮ることとしました。
日本国内では国際テロは発生していませんが、グローバリゼーションの結果、世界中にテロ組織のネットワークは拡大しており、いつ日本がテロの標的になるか分かりません。このたびのバリ島でのテロのように、邦人が巻き込まれる可能性も増えています。国民の生命・安全を守るためにも、国際社会が一致協力して取り組んでいる「テロとの闘い」の中核的活動に対し、日本は消極的であってはならないのです。